忍者ブログ

你是最幸福的

強い関心と恐怖

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

強い関心と恐怖


「オレには、絶対に無意識というものがないのだ」
これは、三島由紀夫が言った言葉。
いかにも、彼を感じさせる言葉でもある。
ここまで言い切れる人物は、ほかにはないだろう。

たしかに彼は、無意識とは逆の自己意識の塊(かたまり)みたいなところがある。
ボディビルで肉体を鍛え上げていたが、
それはトレーニングというものではなく肉体美を誇示するためのもの。
それを誇示する映画に出演したり、
(彼が唯一、絵を評価した)『聖セバスチャン』のような表情を浮かべ
雑誌のグラビアを飾ったりと、自己意識の強さを感じさせるところがあった。

彼にとって無意識は、強い関心と恐怖と畏怖の感覚を持っていたように思える。

彼の、ちょっと面白いエピソードに
「こっくりさん」をやろうとしたことが記録されている。
5人の友人知人が集まり三島家で「こっくりさん」を開くことになった。
三島は真剣で一人気を吐いたが、うまくいかず、
参加者の一人の夫人が、集中力を切らして、つい笑ってしまった。
一同は、夫人と同様な反応だったが、
三島は憤懣やるかたなしの表情で「不謹慎ですぞ」とたしなめたという。
いかにも三島らしいという気がする。
真剣に無意識への探求を試みていたようだ。

これに参加していた、澁澤龍彦が、このときの三島の様子をドイツ語の表現に託して、

「三島は、ザイン(sein) の人ではなく、ゾルレン(sollen) の人だった」

(ザインは英語表現では"be" を意味し、ゾルレンは、"should" を意味する言葉。)

さすがに、言い得て味のある表現のように思える。
PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

P R