この二十数年、演劇界というのは、それほど変わってきたということである。 そういう変化を生んできた一人が、ほかならぬマキノノゾミである 。
そんなマキノはアンチテアトロ派の圧倒的隆盛に対する、大衆劇派逆襲の旗手である。
そもそも現代演劇界においては、アンチが主流というのがおかしなことだった 。しかしそれはおそらく文明開化以降の潮流であったと言えるだろう。新劇は伝統芸能のアンチであり、アングラはその新劇に対するアンチであった。小劇場ブームはアングラのアンチであったのだが、だからと言って一気に大衆に開かれた演劇の王道に回帰するのではなく、あくまでも新人類文化という、カウンター的カルチャーとして花を咲かせた、
言ってみれば、我が国の現代演劇は実はずっと大衆と付き合ってこなかったのである。